ヒダミノウミウシ Fiona pinnata (Eschscholtz, 1831)

ヒダミノウミウシ Fiona pinnata

Location
日本>静岡>大瀬崎>門下
Date
2014/09/04
Size
10mm
Depth
0.0m
Water temperature
26.0℃

特徴

外洋を漂流して生活する小型のミノウミウシで、体長は通常 20mm 前後、最大 50mm に達する。背側突起は背面の縁から斜めの列をなして密に生え、ふちに翼状の薄い縁取りを備えるのが特徴で、これがほかのミノ類と一見して区別できるポイントである。体色は摂餌物に強く左右され、エボシガイを食べているときは淡褐色から白っぽく、カツオノエボシ類 (Velella velella) を食べているときは背側突起内の消化腺が鮮やかな青色を呈する。触角口触手は外形が似ていて、いずれも平滑。眼は持たず、背側突起内に刺胞嚢を持たない点でも一般的なミノウミウシ類と異なる。

分布

世界の温帯から熱帯にかけての外洋に広く分布する汎世界種。流木・海藻・浮遊性のエボシガイ類・ギンカクラゲなどに付着して漂流するため、特定の海岸生というより外洋表層を生息域とする。日本周辺でも記録があり、嵐の後に流れ藻や流木とともに沿岸へ打ち上げられることがある。模式産地は Eschscholtz が参加した Kotzebue 第二次世界周航 (1823–1826) の航海中に得られた標本に基づく。

種小名の由来

種小名 pinnata はラテン語で「羽状の」「翼を備えた」の意。

補足

ヒダミノウミウシ科 (Fionidae) のタイプ種。外洋性で、エボシガイ類 (Lepas anatifera など) やカツオノエボシ類 (Velella velella) を主な餌とし、ギンカクラゲや Janthina も食べることが知られる。原記載時は Eolidia pinnata として Eschscholtz, 1831 の Zoologischer Atlas で記載され、のちに Alder & Hancock, 1853 の Fiona 属に置かれた。Trickey ら 2016 の分子系統解析では、本種は単一種ではなく複数の隠蔽種を含む種複合体である可能性が示されたが、構成種への分割・新種記載はまだ行われていない。
Holleman 1972 は本種を飼育下で観察し、24 日間で平均体長が約 9 倍に増加する急速な成長、エボシガイ Lepas anatifera への明瞭な選択捕食、産卵後 5 日で自由遊泳ベリジャー幼生に至る短い胚発生期間を報告している。
References
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学術データベース

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